世界一周する人がこんな身近にいたなんて
バックパッカーで海外に行ってくると言うお子さんをお持ちの方、
お気持ちお察しいたします。
実際にそれを実現した息子を持つ親の
体験談と心構えをお話したいと思います。
宣言された日
忘れもしない蒸し暑い夏の夜。
「ちょっと話あるんで。」
と、息子に唐突に家族会議の招集をかけられた。
え?何事?思いつくことは何もない。
当時息子は大学生。金に困ってる様子もあるはずもない。
夫と二人ダイニングテーブルの定位置につく。
そして・・・。
「世界一周、行ってきます。」
出たーー。マジかーー。これが私の最初の感想。
夫、無言。
もうこの言葉が出てしまったら
それは相談でもなく、許可を求めているのでもなく
宣言である。
夫、「わかった。」と一言。
へ?なにがわかったん?
私の心中は
止めるも地獄、行かせるも地獄である。
止める理由もなけりゃ手立てもない。
無理矢理止めることはそりゃやろうと思えばできるのかもしれない。しかしそれを止めたことの責任を、彼の人生の責任をとることはできるのか。一生言い訳を抱えさせていくことになるのだ。
人ひとりの人生を親だからという理由で左右してはならない。
だから止めてはいけない。
となれば、もうこれは決定していることなのだ。
ということで
その瞬間から
私は我が子を失うかもしれないという恐怖と闘うことになった。
オーバーだと笑う人もいるだろう。過保護だと呆れる人もいるだろう。
しかし、親とはそういうものなのだよ。
さて、
その時の私は、結構動転しつつもとりあえずググってみた。
「子供 バックパッカー どうする」とか
「バックパッカー 息子 行かせる?」とか。
同じような思いで相談を寄せているサイトがあった。
「それはご心配で。」という意見もあったが
「なんでそんなことで心配してるのかわからない。」
「行かせるべき。今どき大丈夫。」
「過保護。小学生のこどもでもあるまいし、大人なんだから。」
という意見のなんと多い事か。
人の気も知らないで、くそったれ!と思ったのを覚えている。
「はい、気を付けていってらっしゃい。」などと言うことはできず時間が過ぎた。
息子は辛抱強く黙っていた。
しかし、とうとう夫が「お前が『うん』と言ってやらなければ、話は進みもしなければ終わりもしない。」と言った。
私に引導を渡したのだ。親父め!
この夜の一連の出来事は多分私のための儀式だったのだろう。
私はそれでも、ややしばらく唸っていたと思う。
そして泣きそうになりながら、いや泣いていたかもしれないが、
首だけを斜め寄りの縦に振ったのだった。
あの蒸し暑い夏の夜、
今思えば、
それは私が、見たことのない息子を垣間見た夜だった。
その後彼の旅の準備は着々と進んでいった。
私の関知せぬところでね。
だから、
「泊まるところは現地で毎日探すんだ。」
と言われた時には、めまいを起こしそうになった。
旅の行程は
ベトナム ー 香港 ー ネパール ー カタール ー チュニジア ー モロッコ ー スペイン - イタリア ー イギリス ー アメリカ
を半年間で周るというもの。
めまいを通り越して気絶しそうだった。
チュニジアって、どこよ!
出発してからの
親の心境ややったことなどを~第2弾~でお話しします。
こちらからどうぞ👇
神頼み的にお守りをくくりつけた。
第3弾はこちら👇